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『恋する俳句』小学館文庫
五七五の地下墓地
〜日の目見ることなき詩たちのための鎮魂歌〜
人は生まれ、地上で短い時を生き、死して地下で永い時を眠ります。
冥界で眠る人は、二度と日の目を見ることはないでしょう。
ここは、私がポエムバー様で発表させていただいた拙い詩(?)
を埋葬する地下墓地です。
詩は基本的には五七五の形をとってはいますが、季語が入っている
とは限らず、また侘び寂びを重んじている訳でもないので俳句とは
いえず、諷刺や諧謔の路線を徹底している訳でもないので川柳でも
ありません。単なる五七五の定型詩(らしきもの?)でしかありません。
一日だけはインターネットという地上で生を享受させていただきましたが、
今後もう二度と日の目を見ることはないでしょう。
掲載は基本的に新しい順です。
啓蟄に 謳う木洩れ日 もえぎ色
木洩れ日に ざらめ残雪 汗しずく
水色の 三時ひもとく 綿矢りさ
美少女に 背中蹴られて 前を向く
一人待つ 青大理石の 冷たさよ
エルフかと 角毒牙持つ 妖魔なり
美辞の裏 醜い罵詈が 本音かよ
蒼き空 想い匂いを もてあまし
ここからの 起死回生に 賭けてみる
意地を張る 冷却期間 指を折る
音信の 絶えた君だが 幸よあれ
烏玉の 黒髪ふわり 窓向こう
出会うのが 遅過ぎた悔い 急な坂
熱く駆け 雲は起これり 藤の風
逆巻いた 風に尋ねる 雨の理由
泡沫の 夢にとどまる 君の影
へぼ詩人 蜂蜜酒飲み もう一篇
虹が咲き 変わる風向き 白南風よ
君が空 迦陵頻伽の はばたきて
換気して 新たな活力 喚起せよ
すれ違う 家路と旅路 草枕
後朝の 残り香今も いたずらに
亜麻色の 髪の乙女よ 目を開けて
吸い殻の 空き缶床に 叩きつけ
悲しみも 包むホワイト クリスマス
誰しもが 夢思い出す 聖なる日
冬至過ぎ 肩寄せ合って 春を待つ
静寂は 白き天使の 浄め歌
鳴り響く 十二点鐘 雪を呼ぶ
今君は 無垢な祈りを 天にまで
星降る夜 樹氷の街を 流離って
微睡みに ライオンの夢 黄金色
殻閉じた 君にさよなら バイバイを
売り言葉 買い言葉また 悪循環
密度濃い 君との時間 過ぎし夢
昨日今日 明日へと夢を つなげゆく
若過ぎた ほろ苦き過去 酔夢譚
悴んだ 手にひとひらの 淡き恋
少年の 旅は終わって 大人へと
鬱の雲 日輪隠し 靉靆す
照らしたい 永遠よりも この一瞬
窒息死 するほど吹かす ヤケ煙草
てのひらに 一杯欲しい 淡き幸
変わりゆく 人の気持ちが 早過ぎて
根無し我 君にとっての 二番以下
あと五ミリ 奥手の我が もどかしく
媚び売られ 買わされていた 厚化粧
払暁の 声「戦いは これからだ」
さりげなく 伸べた優しさ 素通られ
夢を追い 干支一巡り 地下迷路
行き場無き 想い拙き 言葉生む
フルートの 音色廃墟に 石清水
多忙ゆえ 伝わらぬ声 日は落つる
真剣に 泣いたからこそ 熟睡す
風雨が 灰色の街 重くする
君の声 聞き取りたいよ かすれても
幸無いと 弱音の君の 火曜朝
我思惟う 君想う故 我在りと
満天の 夜景を君と 二人占め
自販機の ホット恋しい 缶コーヒー
夢の間に 春夏秋冬 駆け抜けて
恋の歌 堂堂巡りの オルゴール
あの空の 星にこの手が 届くまで
君想う 夜のお供は 濡れ枕
色付きし 木々に暦を 教えられ
紅葉は 北風指揮の 交響曲
湯飲み二個 一人痛飲 冷めたお茶
遠すぎる シーツ向こうの 君の肩
レコードの 回り回りし 四畳半
今は見ぬ 駆けて追いし アキアカネ
古都一人 プロムナードを 逍遥す
五七五 吟遊詩人の 数え詩
溢杯の 水面逆さに 映る君
田舎道 乾いた風と 虎落笛
だまされた ふた月大人の 恋もどき
ペガサスと 見ゆる白雲 秋の空
雑草ヶ原
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BGM:ムソルグスキー/
『展覧会の絵』
より『CUM MORTUIS IN LINGUA MORTUA』